二月は年によって28日しかないのが忙しないですね。お陰で早めに(図々しい表現)テキストを準備せねばなりません。ぬーん。
まあ、そんなことはおいておきまして。
本日は故・栗本薫(中島梓)先生を偲びながら、(あくまで私視点ですが)「JUNE」というものについて考えてみようかと思います。あまりやましい内容ではありませんが、テーマがテーマですので、この手の話題が苦手な方はご注意下さい。
ジュネ、というのは英字で綴ると「JUNE」、この字面だと六月という意味(笑)に見えてしまうこともありますが、この単語には「青春」という意味、加えて母から聞きましたところ、フランスの詩人・ジャン=ジュネが深く関わっているそうです。以来私は、「JUNE」というのは、つまりそういったものなのかなーと思っているのですが。
でもってこの「JUNE」というジャンル。ご存じの方もたくさんいらっしゃると思いますが、このジャンルは、故・栗本薫先生や竹宮惠子先生を筆頭とし、確立していった、いわゆる嘆美と呼ばれる世界なわけですが…当初、同性愛という苦悩・原罪から、なにかを表現する場であったそこは、やがて「BL」としいう名前で、本屋さんで一コーナーを作るにまで至ります。…至る、のですが。
こういったら少し怒られてしまうかもしれないのですが――「JUNE」から派生し、育っていった「BL」というのは、それでも「JUNE」とは別のもの、違うものであると、私は考えています。
しかしそれが「違う」と漠然と感じてはいたものの、それは一体、具体的になんなのか…というのを、私はわりと長いこと、言葉を見つけることができませんでした。
が、最近になって。…答はなんてことはなく、すでに栗本薫(中島梓)先生ご自身が、『小説道場』の中で示して下さっていたのです。
「JUNEといのは、基本的に人間同士は愛し合えるはずだぁーっ、というのがロマンなんだと思うよ。というか、人間と人間の壁を突き抜ける愛はきっとある、みたいな」
(中島梓『小説道場』三巻・71頁より)
――この一文を読んだ時の私の気持ちたるや、まさに「エウレカ―――!!」(※訳「それだ――!!」)でございました。何回も何回も読んでいる本だというのに、その言葉の意味を知り、理解するのに随分とかかってしまいました…。ああでもすっきりしたー! という気分でした。
そしてこの栗本(中島)先生の言葉を頭に置きながら、もう一度『小説道場』を読み直して見ると、なるほど、その“突き抜けたい壁”というのは、人それぞれ、あまた形を異にしているのに気付けました。それはすなわち、自己否定をしている“壁”はなにか、その“壁”を、どのように突き破りたいか。それが「JUNE」の、物語性の核となるものではないかと考えるのです。
自分にとって、“突き抜けたい壁”はどんな壁であるのか。どんな壁を突き破ることが、自分にとってロマンチックで、劇的で、衝撃的であるか。ある人は同性愛という壁を、またある人はそこに加え、親友同士、王子様と民間人であったり…とにかく様々です。私であれば、それが獣、あるいはロボットと人間の絆であったりします。どうでもいいですね、そうですね。まあ獣やロボットの話は、また別の機会で語るとしまして。(嫌な次回予告)突き詰めれば、その“壁”というのは、各々の中にある萌――あるいはコンプレックスにもなる(なりうる)ものこそが、否定していた自らを許し、肯定できるための「JUNEの種子」と呼べるものになるのかも知れません。
コンプレックスというのは、ご存じの通り、(安易な言い方をすればですが)“自分にとって都合の悪いもの”、“目を塞いでいたいもの”、“見えないふりをしていたいもの”、あるいは罪の意識を抱えさせるものでもあります。「JUNE」というタブーの世界を描くことで、自己の内面とコンプレックスに踏み込み、それらと向き合うこと、“壁”を破り、越えること。そして自らのそれを――そのような形でしか自らを解放できないゆえに――物語として表現することこそが「JUNE」が持つ命題、“ドラマ”なのだと思います。
「BL」というのは、いわゆるライトユーザー向の作品の多いジャンルです。そこには、“自分にとって都合の悪いもの”をわざと排泄した世界のように、私は感じます。
それこそが、「JUNE」と、「BL」の違いではないかと、今、私は考えています。
…まあ、長々と偉そうなことを書きつづって行きましたが――例えば私が、別サイトで書いている作品が、きちんとそれと向き合えているか、というのは……また…話が、別な、わけで…。(散々ごたくを語っておいてこの有様)
自分と向き合う…うーん、「ペルソナ」な話だぜ…。
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・道民なので甲殻類とじゃがいもが好き。
・道民なのに烏賊蛸貝が苦手。
・別サイトでは女性向サイト運営。
・同人歴は気付けば十年戦士。むしろ干支一回り。